Acrobatの「色を置換...」での不具合
PDFでCMYKへの変換
Acrobat 7より、単体でColorモードの変換が出来るようになりました。Office系のアプリケーションから作成されたPDFを印刷するのに考慮された新機能だと思いますし、重宝する部分がある事も事実ですが、幾つかの不具合が現場から報告されています。
Acrobat 7の色を置換ダイアログ
Word書類をOS X 10.4.9のPDF作成機能を利用して作られたPDFの問題点
このテストでは、原因となるものの特定は出来ておらず、結果についても憶測の領域を脱しない事を前提に、特殊環境による現象面の報告と致します。
結果については、各自での環境において検証を採って頂きたい。
現象
- Wordで作成された書類をOS X 10.4.9のPDF作成機能を使用しPDFが作成されている。
- 1.のPDFをAcrobat 7 Professionalの「色を置換…」機能を用いてCMYKへと変換した際に、一部の文字に線の指定が変更され、文字が太ってしまい、潰れたようになってしまった。
- 潰れた文字はOSに付属されているGenevaが使用されている。
- 文字にボールド指定がされている。
- 同様にHelveticaなどの文字には影響は出ていない。
- 色変換前は、塗・線ともにRGB 0,0,0であり、線の太さは0.114mmであったが、変換後は線塗ともC0,M0,Y0,K100で、線の太さは2.261になっていた。(Pit Stop 7.1のEnfocusインスペクタを利用して確認)
WordからOS XのPDF作成機能を使用して作られたPDF
Acrobat 7の「色を置換...」で変換後のPDF
検証
- 同PDFをAcrobat 8 Professionalで色変換を行ってみたが、同様の現象は見られなかった。
- 現象の確認されたWordデータをAcrobat DistillerからPDFを作成した場合には、現象は確認されませんでした。
- Pit Stop 7.1の色変換では同現象は確認できませんでした。
- Wordを用いて、実験PDF同様にGenevaフォントを使用し、ボールド指定を行ったものを、OS XよりPDF作成した場合、同様に線の太りが確認できた。
- フォントをOpenTypeの別のもので試したが、同様の現象は起きなかった。
Open Type(Tahomaを使用)ではボールド指定を行ってPDFを書出しても、線の設定が入らない。 - フォントを他のフォントにしても、True Typeでは現象が起きるが、Open Typeでは現象は確認できなかった。
元PDFの文字を選択してEnfocusインスペクタで見たところ
変換後のPDFの文字を選択してEnfocusインスペクタで見たところ
以上の事柄から、True Typeフォントを利用したOS XからのPDF書出しに問題が有るという事と、Acrobat 7の「色を置換…」との関係によるバグであることと当関係では関連付けました。
Acrobat 8で現象が出ぬ事からも、これ以上の原因追及は今後意味を成さないと判断します。
ただし、同環境での作業が必要な現場では十分注意をされる事を願います。